妻が乳がんと言われた時、夫は・・・

「娘はまだ6歳、妻が乳がんになった」著者:桃山透

株式会社プレジデント社

 

著者の桃山さんはフリーのライター。フリーゆえ収入が安定せず、妻の闘病によってますます経済的に苦しくなっていきます。想定外のお金が工面できず、手術が延期になり「お金がなければ、どんなに妻のことを思っていても、そんな思いはなんの役にもたたないことが結構ある」と悔やみながら、でも著者なりに妻を支えていく姿が綴られています。「がんの知識を増やすより、家事をしたほうがいい」というセリフは、妻が病気になったときの夫の心構えとして、後世に残る名言でしょう。また、当時小学校1年生の娘さんに病気をどう伝えたか、チック症がでてしまったときののメンタルケアなど、娘さんへのサポートについても、きれいごとで終わらずにリアルに記してあります。

 夫が妻の闘病記を書く場合、悲劇的な結末を迎えた後の物語は、どうしても美しく書かれがちです。読む方もハンカチの用意がいります。この本のいいところは、娘さんが11歳になった現在も、妻は抗がん剤治療をしながらパートにでたり、夫婦で近所を散歩したりしながら、日常を淡々と過ごしているところ。決してドラマティックに書くのではなく、等身大で冷静に書かれたドキュメントなので、家族をお持ちの方はぜひ読んでほしいと思います。